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2021/02/01

VIVIANOオリジナル生地制作を追うVol.2

3月の上海ファッションウィーク2021AWに向けたVIVIANO×KIRYU textileのコラボ。今回は生地の制作過程から完成までのレポートです。


ミタショーから生まれたのは変形千鳥格子柄のジャガード。もとはブラック+オフホワイトだったのを、VIVIANOのリクエストでブラック+イエローに変更、色鮮やかな生地になりました。

素材はそのままで、色だけを変更。

「経糸はマイクロのポリエステル。緯糸は太くて撚りの甘いウールとキュプラの強撚糸を使った生地です。太めのウールと細いキュプラ、異なる太さの糸を織るのは、実は結構難しいのです。特別な織機じゃないと織れないし、調整にもかなり気を使います」と、ミタショーの三田さん。

織った後には湯洗いで生地の組織を密にする縮絨加工も行なっています。
「織り上げた時は130cmくらいの幅ですが、縮絨によって仕上がりが94cmになっています。ポリエステルとキュプラよりも収縮率が高いウールがキュッと縮んで、生地に膨らみと立体感が出てきます」


この仕上がりサイズもVIVIANOと相談の上決めたものですが、縮絨加工の際の湯量、温度、時間などによって幅のサイズが決まるので、きめ細やかな調整が大事だそうです。

縮絨加工の様子

そして出来上がった生地がVIVIANOの元へ。コロナ禍ゆえ仕上がりについての確認はリモートで行われましたが、生地を手にしたVIVIANOは「これカワイイ、サイコー!完璧に思い通りです」と、かなり嬉しそうな様子。

リモートで三田さんとMTG

VIVIANO「しかもすごく軽い。これは縮絨してるから?」
三田「そうですね。この生地はもともとざっくり織って、縮絨で膨らませてるんです」
VIVIANO「ウールのコートってよく重いって言われるけど、これはフワフワで軽いけど厚みもあって、見た目にも暖かそうですね」
三田「この生地は糸自体にも温かみがありますが、二重織りになっているので保温性も高いです」
VIVIANO「あまりにも素敵なので、コートとベスト、スカート、あとつなぎとか、3〜4型くらいつくりたいと思ってます!」


そしてこの日、もう一つ出来上がってきたのが津久弘織物の生地。抽象的な植物柄の部分と無地の部分が交互にあらわれるジャガードで、こちらも鮮やかなイエロー。

「無地が50cmで柄が40cmというのがVIVIANOからのリクエスト。経糸はナイロン、緯糸はベースがキュプラ、柄のカットの部分がポリエステルウーリーで、濃淡の違う二色のイエローの糸が使われています。サンプルで見せた時のオリジナルの生地はブルー地にイエローとブルーの柄でした」と、津久井さん。

同じ柄を違う色の糸で仕上げた

そして前回の訪問時にVIVIANOが言った通り、この生地は、いわゆるカットジャガードなのですが、糸をカットをしていない状態のままになっています。
「それが一番の特徴です。僕自身、カットしない生地を出すのは初めて。自分では考えつかなかったことですね。桐生はカットの技術の高さで有名ですが、それを敢えてやらないというのも新しいかもしれません」


今回は生地を安定させるための整理工場での通常の仕上げ以外は何もせず、かなり生機に近い状態だそう。ある意味、未完成のままの生地。それがどのようなスタイルの服に変わっていくのかを想像するのが楽しいと、津久井さんも出来上がりを期待しています。

通常ならカットする部分の糸をカットしないまま残している

VIVIANOにとっては、この“カットしないカットジャガード”も思った通りの出来上がりで、「津久弘さんならではの繊細で美しい生地」と絶賛。「今回のコレクションはブラックが多くて、この生地も最初はブラックとイエローで試し織りしてもらったんです。でも、ちょっと重い印象だったので、それでもっと明るくポップにしようと全部イエローしたら、すごくいい感じになりました。同じイエローでもベージュっぽい色ともっと明るい色がグラデーションのようになっているのがきれいですね。糸をカットしていない部分は、引っ掛からないように上からオーガンジーを被せます。生地本来の雰囲気をなくしたくないから、フィルムみたいな透明感のあるオーガンジーを使います」


VIVIANOは、カットしていない部分を自分自身でカットすることも少し考えているとのこと。一体どんなアイテムになるのでしょうか?

様々なデザインを考案中

もうひとつ、桐生整染商事とのコラボは、“釣り糸を使った不思議な光沢を持つ生地”を使うことが決定。どのようにアレンジするか現在まだ調整中で、今回は残念ながらまだ生地をお見せできませんが、次回の最終レポートではその詳細をお知らせするとともに、3つの機屋とのコラボ作品のLOOK写真をお届けします。どうぞお楽しみに!

VIVIANO SUE

中国出身アメリカ育ち。2008年から東京在住。文化服装学院卒業後に自身のブランドを設立。ブライダルとクチュールの仕事から始まり、今はプレタポルテもデザイン。アメリカ、中国、日本での暮らしの経験から東洋と西洋の様々なカルチャーが創作の源となっている。国内外のショーに出展。Vogue、Superior Magazine、GlamourUK、L’Officielなどのメディアでも数多く紹介されている。

●KIRYU textileは意欲的なデザイナーを募集中です。

ヴィヴィアノ・スーとのコボレーションが各所で反響を呼んでいるKIRYU textileは、新たなコラボレーションを展開すべく、若いデザイナーを募集しています。桐生の生地を使って誰も見たことのないようなファッションをつくりたいという意欲的なデザイナーの方、是非一度、当HPの問い合わせ先までご連絡ください。それぞれに個性を持つ機屋がお待ちしています!