ヴィヴィアノ・スーが語る桐生の魅力
「上海ファッションウィークのSS2020」で、桐生の生地を使ったコレクションを発表したヴィヴィアノ・スーさん。“デザイナーと機屋が直接コラボして服を作る”という桐生発のプロジェクトに誘われたことが、新たな服作りのきっかけになったと語ります。
「桐生が織物の産地だということは知っていたし展示会も見たことはありました。でも価格や取引条件の面でハードルが高くて手が出せなかった。だから文化服装学院の先生からコラボのプロジェクトがあるって誘われてすぐOKしました。実際桐生に行って5〜6軒の機屋さんをまわった時は、見たことのない生地や使いたいと思った生地が本当にいっぱいあって、すごく興奮しました(笑)」
2020SSではミタショーと須裁の生地を使用。華やかなカットジャカードで仕立てられた服には大きな反応があったそうです。
「ミタショーさんのカットジャガードは、「これ何?」ってみんなが触っていくし、須裁さんの生地で作ったワンピースも評判が高かった。微妙な柄の浮き上がり方とか、職人技で出す風合いや手触りは本当に素晴らしい。中国にも似たものはあるけど、カットの技術とかの細かい部分は絶対真似できない。このプロジェクトで直接機屋さんと話して、ジャカード織の組織の仕組みとかについてよく理解できたことも収穫でした。生地についてよく知っていれば自分から新しい生地作りの提案ができる。デザイナーは機屋とは違う視点で提案するから、それはきっと機屋さんにもいいチャレンジになると思う。いつかは今まで見たことのないようなオリジナルの生地作りに一緒に挑戦してもらえたら嬉しいですね」
「要望があるとすれば、桐生の生地は色合いが渋い婦人向けのものが多いので、世界を視野に入れるなら、もう少し若い人が好む配色や柄がいっぱいあるといいかな。あとコスト面で、若い人は高い生地の服はなかなか買えないっていう点もある。でも棉(わた)を入れてアウターにしたり、袖や襟だけとか部分的に使ったりしながら、これからも桐生の生地は使っていきたいです」
VIVIANO SUEヴィヴィアノ・スー
中国出身アメリカ育ち。2008年から東京在住。文化服装学院卒業後に自身のブランドを設立。ブライダルとクチュールの仕事から始まり、今はプレタポルテもデザイン。アメリカ、中国、日本での暮らしの経験から東洋と西洋の様々なカルチャーが創作の源となっている。国内外のショーに出展。Vogue、Superior Magazine、GlamourUK、L’Officielなどのメディアでも紹介されている。